テレビ番組制作会社のADが「イスで寝てる」なんて映像がたまにテレビで映ります。
他にも会社のソファーや、どこも空いていなければ床でも。。。
残念ながら現実です。
これはテレビ以外、CMやPVなどの広告系の映像業界でも共通です。
映像の「仕込み」と呼ばれる撮影までの準備、編集の準備をする役割であるADやPMは業務上時間がかかる仕事なのです。「また明日やろう」となれば確実に締め切りに間に合いません。
今回はその原因をお話ししましょう。
目次
工場は自分自身
最大の理由はAD、PM自分自身が映像の「組み立て工場」だからです。
一般的な商品の場合
例えば、何か「物」の商品を売ろうとすると、工場に発注をかけます。
工場では最初に金型、生産ラインを作り、大量生産するために「機械」が「自動」で何十個、何百個と商品を作ります。
そして、出来上がって工場から納品された物をお店に納入します。
あとはお店で売れるのを待つだけです。
映像業界の場合
ADが「映像」を作ろうとする場合、映像制作会社(工場)に発注するわけではありません。あなたが「工場」なのです。
「企画」という「設計書」を渡されたら「部品」から揃えなければなりません。部品といってもそれはカメラマン、照明、録音のスタッフであったり、取材先であるロケ地であったりを自分で準備します。
部品を作ったら、あとはそれを組み立てますが、その映像素材(部品)を繋げるのも予算によっては自分でやらなければなりません。
さらにモザイクなど色々な修正を行い、やっと納品することができるのです。
部品を集め、作り、組み立て、納入まで場合によっては一人で行なわなければなりません。
データの取り込み時間
PCの処理能力は年々向上していっていますが、それに比例して扱うデータ量も増えていっています。
USB3.0が登場した時は感動しましたが、4K、8Kが登場した現在ではそれほど速く感じませんね。
撮影した映像素材、データを取り込む時間待っていなければならないのもADやPMの仕事です。
データ量が多ければ多いほど拘束時間は増えます。
残念なことに最新のPCを使ったところで、データコピー中に止まるとことはあります。
データの形式を変換している最中に止まること多々あります。
それを見ていなければならないのです。
変換を仕掛けて帰って、翌日の朝見たら止まっていたらその日の大半を無駄にすることになります。そんな経験をすると自然とPCの隣で寝るようになってしまうのです。
締切に追われる
テレビであれば放送日が決まっています。
帯の番組であれば毎週いつまでに納品するか決まっています。
その映像の難易度がどうであれ関係ありません。
だいたいトラブルが起きる
仕込みの段階でロケ地がなかなか決まらない場合があったり、終わった。。。と思ったら出演者からここをカットしてほしいと要望があったりとすんなり終わらないことも多々あります。
人と関わる仕事であるので、出演者とか、上司とか、スポンサーの感情次第であなたの仕事量は変わっていくでしょう。
だいたい2,3件掛け持ち
残念ながら映像業界は低予算、低利益率の業界です。
WEB業界のようにほぼ人件費だけで利益率6,7割みたいな夢のある業界でもないのです。
すなわち、「数」仕事をこなさないと会社が経営できるぐらいの利益を確保できません。
よって特に30人以下の小規模な制作会社の場合は2,3件同時進行は当たり前です。
1つだけならできたものが、他が重なるとスケジュール的に時間を取れないこともあり余計に時間がかかります。
覚悟が必要
映像業界は長時間労働が当たり前という常識はいまだにあります。
テレビ番組やCMのようなハイクオリティーな映像はまだ映像制作会社が受け持つ割合が多いのでしばらくこの状態が続くでしょう。
しかし、映像を作ることが好きな人にとっては最高の「映像漬け」が体験できます。
学生時代にどっぷり映画づくりに励み、寝ないで編集しましたなんて人には最高の環境です。
全て悲観せずに楽しんで働いていきましょう。