映像業界を知るとある問題が現れます。
制作会社に入って「社員」として経験を積むか、「フリーランス」として自分のやりたい仕事をするか。
実は「フリーランス」でも十分食べていける業界が「映像業界」です。
つまり、本職となれば日当が1万円以上が普通なので、最低でも撮影現場で泥臭く働けば約30万円くらい稼げてしまいます。
そんな一見好条件に見えるフリーランスに対し、社員になるメリット、そしてデメリットは何なのかお伝えしいきましょう。
目次
メリット① 安定
今回のコロナで思い知らされたのが、フリーランスの不安定さだと思います。
「緊急事態宣言」など出てしまえば、撮影は完全ストップ。仕事はありません。
撮影現場は人の密集地帯。スタジオ撮影なんてリスク大です。
仕事がないにしても、自分が感染したとなれば休業しなければなりませんし、映像業界は人と人との繋がりの場、感染したという噂は同じフリーランスを介して業界全体に広がります。
社員でなければ職場復帰に時間がかかることでしょう。
メリット② 先輩に教えてもらえる
会社員のメリットとして先輩から仕事を教えてもらえることは大きいと思います。
フリーランスだと、使えなければ切ればいいですが、社員であればそれはできません。後輩が使えないままだと自分の仕事が増えて困るからです。
初めはできなくても、なんとかできるように教えてくれるものです。
また、人間関係、人付き合い(特に嫌いな人との)も学べるのもポイントですね。
メリット③ 日常的に会社設備、新しい技術、機材と触れられる
会社の設備が使えるのは大きいです。自分の机があり、会議室もあり、コーヒーも飲めたりします。
また、現代では1年でその業界の常識が変化してしまうのが常です。
毎年新しい機材、ソフトが開発、発表されます。
そして、性能の良いものほどかなり高額です。
会社員であれば会社のお金で、高額な設備、機材を揃えてくれます。
例えば、8K等の新しい技術に対応させるために、企業であれば、社員をセミナーに行かせたり、実際に機材をレンタルして触れることもできます。
仕事の中で普段付き合いのあるカメラマンから技術的なレクチャーを受けることができます。
大容量のハードディスクも案件で必要であれば、自分の裁量で購入することができます。もちろん会社のお金で。
さらに企業であれば、大容量のデータを処理できるPCに買い換えたり、新しいソフトにアップグレードする「投資」をすることができ、社員はその恩恵を受けれられます。
一方、フリーランスは自費でPCを買い替え、必要な新しい知識を独自に勉強する事になります。
必要な機材を買うために働かなくてはならなくなります。
メリット④ 人脈が広がる
会社員だと、より一流の人(腕の良いスタッフや、会社の管理職の人や、クライアント)と関われる、人脈ができるのがメリットでしょう。
フリーランス下っ端だと、制作会社の社長やプロデューサーとも言葉を交わすことはありませんが、社員だと日常的に交流があります。そういう人と飲みに行くことが多いです。
また、発注して仕事をしてもらっているスタッフにとって、その会社の社員はクライアント(得意先)となります。
お金を出している、ギャラを払っている会社の人になります。
なので、超有名ディレクターやカメラマンの近くに行くことも許され、のちに交流を持つことになるでしょう。
メリット⑤ 会社員でなければなれない職種がある
プロデューサー
プロデューサーという職種は、フリーランス一筋からなるのは非常に難しい職種です。
プロデューサーへの第一歩は、上司のプロデューサーから仕事を分けてもらったり、長年レギュラーでやっているクライアント担当者に気に入られて仕事をもらったりするケースがあります。
映像業界は人と人との繋がりで仕事をもらうことが多い業界です。飛び込み営業は少ないですね。
明日程度会社で仕事を囲い込んでいることが多いのでフリーランス一筋で成り上がるのは非常に困難です。
管理職
人間はいつまでも現場を走り回って働き続けられるものではありません。
深夜も働くことが普通な映像業界。40代、50代になると疲れてきます。
そこでマネージャーとなり部下を管理することでお給料をもらうということも一つの選択肢となります。
フリーランスとなれば手を止めたら最後です。
映像制作会社が求人を出すと40代、50代のフリーランスが意外と応募してくる傾向にあります。
デメリット① 来た仕事は断れない
社員のデメリットといえば、仕事を選べないということが一番だと思います。
プロデューサーが受けた仕事は、あたながやる仕事です。
断るという選択肢はありません。
難易度とか関係ありません。形にすることがあなたの仕事です。
合わない上司からの仕事が大量に来ると、数年で残念ながら辞めてしまう人が多いですね。
デメリット② 無限に働ける制度
映像関係の企業にとどまらず、広告業界、出版業界には無限に働ける制度が整っています。
「裁量労働制」です。
簡単に言うと「定時はなく、自分の裁量で好きな時間に仕事をやってください」。その代わり、「どれだけ働いても1日〜時間、〜時間残業」というカウントを取らせていただきます。
という制度です。
一見時間に縛られなくて良い制度のように見えますが、現実は大量の仕事量の上の裁量労働制なので、24時間働いても8時間しか働いていないことになるかもしれません。
デメリット③ 昔からの友人が減る
映像業界はかなりの夜型です。夜9時から会議なんてことも普通にあります。
そうなると日常的に終電あたりで帰宅することになり、アフターファイブという概念はほぼありません。
友人から常識的な時間に飲みに誘われると参加することはまず不可能。
断り続けることなり、最終的には誘われなくなります。
まずは会社員がおすすめ!
専門学校や大学を卒業して、まず映像業界でフリーランスになることはオススメしません。
なぜなら全てが自己流になり、いつの間にか、同じこと、同じ人としか仕事ができない人間になるかもしれません。
技術を向上させるのに最新のMacを買わなければならないのに、生活のためにいつまでも買い換えられない人も多いです。
そうなると、同じ年数社員で働いていたらプロデューサーになっていたかもしれないのに、車を1日中走らせてロケハンをしているなんてことも考えられます。
私の経験上、まずは最低3年〜5年は会社で耐え抜いて人脈や技術を獲得してからフリーランスになるのが賢明かと思います。
会社にいればその業界の人とお金の流れがわかってきます。その基本構造がわからずに自己流をやることは危険です。
人の価値観はそれぞれですが、なりたい自分になりたいであれば、少しは人に人生を委ねてみるのも良いかもしれませんね。